風来の森日記

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本の紹介、自作ゲームの制作日記

 
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転生

転生
貫井徳朗 著

主人公の和泉は、心臓移植手術をうけてから、恵梨子という見知らぬ女性を夢にみるようになった。
聴いたこともない曲の作者がわかってしまったり、絵の才能が開花したり、それが心臓移植と関係があると考えた和泉は、やってはいけないと知りつつも、ドナーの事を調べ始める。


かなり読み応えのある小説です。
自分に与えられた心臓は、交通事故でなくなった女性のもの。この限られた情報だけをたよりに、和泉はドナーと夢に出てきた恵梨子という女性が同一人物ではないかと考えます。
苦労の末に、ようやく女性の遺族との面会を果たしますが、なんと!!
あんまり詳しく書けませんが、とにかく、この移植手術には謎が多く、それを調べる和泉の身にも危険が迫り、かなりスケールが大きい話になっていきます。
移植についての問題点など、かなり奥深い内容を秘めた医療ミステリです。
心臓移植後に和泉の身に起こった不可思議な現状を、話を盛り上げるためだけの、どうでもいい出来事のままでは終わらせず、最後まで医学的に説明しようとするところは、ちょっと野暮かな〜と感じる人もいるかもしれませんが、それだけにきっちり説明つけて終わらせるところはカッコイイです。さすが貫井さんだ。信じる人は転生を信じればいいのだ!

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戦いいまだ終らず

戦いいまだ終らず
落合信彦 著

満州で敗戦を迎え、その後捕虜としてシベリアで強制労働を強いられた大宝米蔵は、帰国後日本一の経営者となるべく奮闘する。


米蔵は、敗戦後の過酷な状況下で培った経験とカンを生かし、着実に会社を大きくしていきます。
その実績をかわれ、破綻寸前の企業の再生を頼まれますがが、長い間ぬるま湯につかった従業員や組合の幹部達が立ちふさがり、危機的状況に追い詰められます。

前半は満州での敗戦経験やシベリアでの強制労働の様子が描かれ、後半に会社を大きくしていく様子、そして様々な危機やそれを乗り越えていく様子が描かれています。起業後の話がメインなのかもしれませんが、それなりの歳月の出来事が凝縮されて描かれているので、もっとじっくり米蔵が奮闘する様子を見たかったような気がします。何巻かにわけても良かったんじゃないかな〜と、ちょっともったいない気がします。
この手の話は、経済の専門用語を連発してるだけのイヤミな作品が多いと思ってましたが、そういうものは一切ありません。時代設定が昭和のオイルショック前後だからかもしれませんが、ほどよく論理的な面を含みながらも、勘とか情とか、わりと人間くさい部分を前面にして会社を大きくしていくので、かなり痛快な話になっています。おすすめの逸品です。

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